車中泊避難所の検討(シリーズ②)
1.車中泊避難所が進まない3つの要因(その2)
2)エコノミークラス症候群の危険
車中泊=エコノミークラス症候群=死亡リスクというイメージが定着していることが、車中泊避難を阻んでいる最大要因と言えるでしょう。熊本地震では地震発生から4日後に50代の女性がエコノミークラス症候群が原因で死亡したことで大きくクローズアップされるようになりました。
①エコノミークラス症候群の仕組み
エコノミークラス症候群の仕組みは下記図のとおりですが、足を下にするとリスクがより高くなりますが、フラットな状態でも狭いところで長時間同じ姿勢でいると血栓ができやすくなります。また新型コロナウィルスに感染すると血栓ができやすくなることも指摘されています。
②対策
死亡リスクが出てくる恐ろしいエコノミークラス症候群ですが、対策が困難かというと、実は個人レベルで簡単に予防できる病気なのです。
- フラットな状態の保持(身動きできる広さの確保)
- 水分補給
- 換気
- 足の運動
これで対策は十分です。
過去の車中泊におけるエコノミークラス症候群は危険性が十分理解されず、知識不足からくる不幸な出来事でしたが、専門家の方々の警鐘で危険性の認識は広まってきたと思います。車中泊避難所として自治体が管理し、受け入れ条件として、フラットにできる状態であること(セダン型は受け入れない)を予め周知し、エコノミークラス症候群対策のチラシ配布を配布することで、リスクは大幅に軽減できるのではないでしょうか。
③体育館避難所とのリスク比較
車中泊=危険というイメージが固定していますが、では体育館避難所で人の命が守られているでしょうか。車中泊のリスクだけの評価ではなく他の避難所とのリスク比較が重要です。これについては後日、「車中泊避難所検討が必要な6つの理由」で詳細しますが、温度湿度管理ができず、真綿で首を絞められるとも形容される体育館避難所は災害関連死に大きく影響していると言われています。温度湿度管理という解決困難な体育館と正しい知識と対策でリスク回避が可能な車中泊。あなたならどちらを選択しますか?体育館よりは車中泊を選択したいという住民ニーズの感覚は間違っていないと思います。
④小噺
これは余談で、講演の時の小噺です。「私は車中泊では絶対にエコノミークラスにならない人間です。なぜなら夜間頻尿で2時間に1回はトイレに起きて歩いているからです」。