車中泊避難所の検討(シリーズ⑨)

第2章

1.車中泊避難所を検討すべき6つの理由(その6)

6)災害対策の基本は多様な選択肢(体育館避難所と車中避難所のハイブリッド運用)

熊本地震の例を見るまでもなく、車中避難を選択せざるを得ない状況を想定し、多様な形の避難所を想定しておく必要があるのではないでしょうか。

体育館避難所、縁故避難、ホテル避難所、そして車中泊避難所と多様な備えをしておく、複数の選択肢を持つことは防災の基本。

専門家は自分分野での100点を求めて提言する傾向にありますが、防災は100かゼロかではなく、ベターと思われることから実践していくことが重要と言われています。

上記にあげた避難生活で100点はありません。

避難所の主流となっている体育館避難所で多くの方が体調を崩し、多くの災害関連死を出している認識と、車中泊を希望される住民が多いと言う現実を直視し、体育館避難所とのリスク比較と対策による効果(費用対効果も含む)を検証することが重要です。

収容能力の問題はあるにしても、避難所も住民の選択肢が増やすことができればと思います。

※2022年1月には高知県いの町において、臨時情報を想定した車中避難所に特化した訓練を実施しました。

いの町は津波被害はない町ですが、臨時情報が出されると耐震に不安のある住民が避難生活を送ることになるが、町内の避難所の収容能力に限界があり、車中避難所を開設せざるを得ないという考えの元訓練を実施しました。多様な避難所の検討を始めた自治体も増えてきています。

高知県いの町での車中避難所訓練
九州防災パートナーズでの車中泊避難所実証実験