令和3年度 いの町車中泊避難所受入れ訓練 -開催レポート
目次
はじめに
令和4年1月8日(土)「いの町車中泊避難所受入れ訓練」がいの町すこやかセンター伊野にて開催されました。
避難生活の手段の一つとして注目されている車中泊避難について、注意すべき点や受け入れ態勢などを、講師として指導しました。
※今回のテーマは “避難生活における車中泊” です。”緊急避難” とは異なるのでその点を留意ください。
いの町車中泊避難所受入れ訓練について
訓練目的:
南海トラフ地震など大規模地震の発生に備え、車中泊避難を希望する避難者の受け入れ訓練を実施することにより、車中泊避難を行う際の課題の把握や受け入れ体制の確認を行うことを目的とする。
実施日時: 令和4年1月8日(土) 9:30~12:30
実施会場: すこやかセンター伊野 大会議室、駐車場
主 催: いの町
協 力: 高知防災プロジェクト、さんすい防災研究所、伊野地区自主防災会連合会
訓練項目:講演、車中泊避難所受付、ゾーニング、巡回支援の確認、講評、取り組み報告(伊野地区自主防災会連合会)
訓練経緯
2020年6月に高知防災プロジェクト主催で実施した車中泊避難所受入訓練には10自治体の見学がありました。
この訓練の見学に来た いの町担当者より、いの町でも実施したいとの申し出を受け、いの町主催、高知防災プロジェクト、さんすい防災研究所協力で実施することになりました。
いの町長より挨拶
訓練のはじめに、池田牧子いの町長からのご挨拶。今回の訓練には町長も、はじめから最後まで参加されました。
講演「避難生活における車中泊について」
訓練の前半部では、高知防災プロジェクト・さんすい防災研究所の代表である山﨑水紀夫から、「避難生活における車中泊について」講演を行いました。
いの町の自主防災組織をはじめとする地域住民や、自治体職員など多くの方々が参加し、車中泊避難について学びました。車中泊避難についての訓練は、全国的にも先進的な取り組みであるため、複数のメディア関係者も取材に訪れています。
講演
講演では、車中避難希望者が増加傾向であることを事例をあげながら紹介したのち、体育館避難所とのリスク比較、課題であるエコノミークラス症候群への対策方法、受け入れ側が想定すべきこと、避難者が備えるべきことなどについてお話ししました。
※車中泊避難についての詳しい内容は、さんすい防災研究所の当ホームページでも紹介予定です。
質疑
質疑の時間で受けた参加者からの質問をいくつか紹介します。
テント泊について
車中泊と同時に、避難者がテント泊を希望することは十分想定されます。最終的には自治体判断となりますが、そういったケースにどう対応するかを事前に想定しておくことが大切です。
電源についてよいアイテムや事例を紹介してほしい
ポータブル電源が便利です。最近は備えの一貫としてレジャーでも活用する人が増えているので、準備を検討してみてはいかがでしょうか。また今回、展示しているトヨタの給電車なども、避難所で役に立つでしょう。
”オートキャンプ場やRVパークなども電源サイトとなるため、今後そのような場所が避難所として活用することも考えられるのではないか” ということも、車中泊専門誌「カーネル」編集長の大橋さんより紹介されました。
いの町では車中泊避難の場所を検討しているのか
いの町からは、今後の検討課題であるとし、まずは今回のような避難訓練で課題を整理していきたいとの返答がありました。
車中泊避難所受入れ訓練
訓練の後半部では、実際の現場を想定したシミュレーションを行いました。
車中泊避難所受付け
避難所受付にて、車中泊避難希望者の受付を行います。
コロナ禍であるという想定のもと体調の確認や、車中泊に適した車であるか(フルフラットになるか)など、避難者の情報を聞き取ります。
さまざまなタイプの避難者が想定されます。
車の形状や家族構成など、場合によっては車中泊での避難ではなく、通常の避難所を勧めることもあります。
ゾーニング
受付の訓練のあとは、駐車場へ場所を移します。
受付をした避難者には、駐車許可証が渡されます。
駐車場は、一般の駐車場と車中泊避難所用駐車場に分かれます。
係の誘導にしたがい、所定の場所に駐車します。
車中泊避難のメリットは、体育館などの避難所と違って空調の管理ができることです。
レジャーにおける車中泊とは違い、アイドリングに対応した配置が望ましいため、避難生活に適した配置についても説明しました。
巡回支援の確認
車中泊避難の場合における、巡回支援についても確認しました。
車中泊避難生活に役立つ車
駐車場では車中泊避難に対応した車の展示も行いました。
こちらは、普段からレジャーに利用しているという車中泊仕様のバン。
手が込んでいるように見えますが、普段使いの布団やポータブルバッテリーの利用、100円ショップの材料で作った手作りの網戸、電気あんかによる防寒など、すぐに真似できる工夫が多いのも特徴です。
こちらは、ポータブルバッテリーを利用して、プロジェクター投影しています。ストレスがたまる避難生活の工夫として、ネッツトヨタのスタッフより紹介されました。
こちらも同じくトヨタ車。給電車の展示です。
避難生活では、スマートフォンなど情報源となる電子機器の充電に活用できます。
こちらは、特別な車でなくても車中泊に活用できる例です。
席を倒したり詰め物をするなどして、フルフラットの状態を作ることができれば、特別なものを準備しなくても、車中泊での避難生活は可能です。
さいごに
訓練の最後には、伊野地区自主防災会連合会・是友奥名地区自主防災会の樋口義博会長より、取り組み報告がありました。
訓練には、トヨタ自動車社会貢献部、車中泊専門誌「カーネル」、車中泊実証実験を行っている九州防災パートナーズからも見学や取材があり全国的にも自治体が主催する訓練としては画期的との評価をいただきました。
メディア掲載
>>車中泊避難 課題探る : ニュース : 高知 : 地域 : 読売新聞オンライン
読売新聞、毎日新聞、高知新聞の紙面でも取り上げていただきました。
さんすい防災研究所では、車中泊避難所受け入れ訓練についての講演・研修を承っています。ゲーム形式で学べる「車中泊避難所設置・運営ワーク」も用意しており、ワークショップ形式での研修にも対応可能です。
多様な経験で培われた現場力とバランス感覚は、多くの研修や委員長職に結実し高い評価をいただいています。
これまで多くの自治体や関係機関から依頼をいただき、高齢受講生からも「専門用語や横文字がが少なくわかりやすい」、「現場体験に基づく話で説得力がある」という評価をいただいております。
まずは、お気軽にご相談ください。