車中泊避難所の検討(シリーズ④)

第2章

1.車中泊避難所を検討すべき6つの理由(その1)

1)体育館避難所とのリスク比較

東日本大震災 岩手県大槌町 大槌高校 3月20日撮影

車中泊避難所の必要性を感じたのはこれまでの被災地支援経験の中で常々感じていた「そもそも体育館は人が生活する場所ではない」ということ。体育館を避難所の中心に据えている限り、避難者の健康は守れないという多くの支援仲間との共通認識でした。

体育館避難所の3大課題「温度・湿度・衛生」管理が不可能に近い。
これは1995年の阪神淡路大震災以来の課題で25年以上が経過しても未だに改善されていません。

体育館で環境が整ったと言えばベッドとパーテーション(間仕切り)くらいではないでしょうか。

災害関連死:復興庁より

阪神淡路大震災以降、災害関連死という概念が生まれ「命をつなぐ」活動に重点が置かれるようになりました。東日本大震災では3700名以上の方が災害関連死と認定され、原因の50%以上を「避難所などにおける生活の肉体的・精神的疲労」(復興庁データ)が占めているように、体育館避難所で人の命や健康が守られている状態にはないのです。

常総市避難所

車中泊=エコノミークラス症候群で危険というイメージが刷り込まれていますが、車中泊だけのリスク議論より、重要なのは体育館避難所とのリスク比較と、対策の難易度比較ではないでしょうか。25年以上に渡り解決できない「温度・湿度・衛生管理」が今後改善されるとも思えません。

一方、車中泊については、今シリーズ②でも述べましたが、「フラット・水分補給・運動・換気」で十分予防できる課題で、これらは就寝前5分の個人レベルの対策で回避可能なのです。

ベストな方法(ホテル避難はベストだが数に限界がある)が選択できない以上は、個々の課題だけを議論するのではなく、他の避難所との比較が重要ではないでしょうか。

私はこれまでに研修受講生や取材を受けた報道関係者など様々な人に、体育館と車中泊どっちがいい?と質問をすると、車中泊と答える人が圧倒的に多く、体育館と答えた人はごく少数でした。

住民は専門知識はないけれど、一つの視点に偏ることもなくそれぞれの意見を聞いて「なんとなくこっちだなあ」と判断を下します。そしてその「なんとなくの感覚」は必ずしも間違っていないというのが、市民活動(ボランティア・NPO中間支援・被災地支援)を30年以上続けてきた私の感覚です。

体育館避難所と車中泊避難所(トイレは確保されている)、自由に選択できるとしたら、あなたはどちらを選択しますか。

九州防災パートナーズ主催:車中泊避難所実証実験より